しゃべる麻酔器
2000年9月28日手術と切っても切り離せないのが麻酔である。
その地方の基幹病院クラスの大きな病院になると専門の麻酔科医がいるのだが、それ以下の一般病院では、我々外科医が自分たちで麻酔をかけて手術をするというパターンが多い。
私が最初に行った病院は専門の麻酔科医がいたので、そこで私は麻酔を教えてもらったのだが、麻酔科のいない病院に行った外科医は先輩から麻酔を教えてもらったりする。
今日は、そんな麻酔科のいない病院に行った私の先輩(以下Tと省略)の研修医の頃のお話。
Tはその病院に行って3日目に緊急手術が入った。
もちろんそれまで麻酔をかけたことなどなかったが、緊急のことであり突然麻酔を任されることになった。
先輩から手取り足取りされながら麻酔の導入・挿管などを行い、先輩たちはそそくさと手洗いを始め、術衣に着替えた。
ひとりぽつんと麻酔の席に着いたTは、モニターとにらめっこである。
そうこうしているうちに手術が始まり、しばらくは何事もなかったのだが、30分程経過したところで患者の血圧が80/60と下がり始めたのである。
どうしていいのか分からないTは、手術をしている先輩に、
「血圧が下がりました!」と報告したところ、
「セボ(セボフルレン、吸入麻酔薬)落として。」との声。
Tはあわててセボフルレンの濃度を下げた。
しばらくして、血圧も上昇してきてホッとしているところに、今度は脈拍が50台に低下してきた。
「プルス(脈拍)50です!」と再度報告。
「硫アト1アン(アンプル)静注。」と神の声。
Tは急いで硫酸アトロピンのアンプルを切って静注した。
こんなことをしているうちに無事に手術が終わり、術衣を脱いだ先輩がTに向かって一言。
「麻酔器がしゃべりよるごたったぞ。」
その後しばらくTは「しゃべる麻酔器」と言われたそうだ。
その地方の基幹病院クラスの大きな病院になると専門の麻酔科医がいるのだが、それ以下の一般病院では、我々外科医が自分たちで麻酔をかけて手術をするというパターンが多い。
私が最初に行った病院は専門の麻酔科医がいたので、そこで私は麻酔を教えてもらったのだが、麻酔科のいない病院に行った外科医は先輩から麻酔を教えてもらったりする。
今日は、そんな麻酔科のいない病院に行った私の先輩(以下Tと省略)の研修医の頃のお話。
Tはその病院に行って3日目に緊急手術が入った。
もちろんそれまで麻酔をかけたことなどなかったが、緊急のことであり突然麻酔を任されることになった。
先輩から手取り足取りされながら麻酔の導入・挿管などを行い、先輩たちはそそくさと手洗いを始め、術衣に着替えた。
ひとりぽつんと麻酔の席に着いたTは、モニターとにらめっこである。
そうこうしているうちに手術が始まり、しばらくは何事もなかったのだが、30分程経過したところで患者の血圧が80/60と下がり始めたのである。
どうしていいのか分からないTは、手術をしている先輩に、
「血圧が下がりました!」と報告したところ、
「セボ(セボフルレン、吸入麻酔薬)落として。」との声。
Tはあわててセボフルレンの濃度を下げた。
しばらくして、血圧も上昇してきてホッとしているところに、今度は脈拍が50台に低下してきた。
「プルス(脈拍)50です!」と再度報告。
「硫アト1アン(アンプル)静注。」と神の声。
Tは急いで硫酸アトロピンのアンプルを切って静注した。
こんなことをしているうちに無事に手術が終わり、術衣を脱いだ先輩がTに向かって一言。
「麻酔器がしゃべりよるごたったぞ。」
その後しばらくTは「しゃべる麻酔器」と言われたそうだ。
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