体重

2001年6月19日
どうも、最近ちと痩せたようである。
最近の激務が祟ったようだ。
最初は、ベルトの穴が一つゆるんだことで気付いたのだが、こんなに痩せているとは思わなかった・・・

体重を最終確認したのは、確か半年前だったような気がする。
その時は、手を腰に当て、コップ一杯の焼酎を勢いよく飲んだら、簡単に73という数字が跳ね返ってくるような体重だった。
さて半年ぶりに体重計に乗ってみると、69.8という数値が表示されたのである。
あこがれの60kg台・・・
ああ・・・、何年ぶりだろう・・・・
やっと戻ってこれたのね・・・

しかし、周囲の人間は、誰も、私が痩せたことに気付いていない。
ひどい看護婦は、「先生、また太ったんじゃないですか?」などと聞いてくる。
「失敬な!これでも最近の仕事がきついせいか、3kg痩せたんぞ!!」
「えっ!本当ですか?でも、先生もっと痩せないと体に悪いですよ」

・・・今まで、どんなにダイエットしても収縮しなかったこの強靱な脂肪が、激務のせいで痩せることの方が体に悪いと思うのだが・・・

その時私は、学生の時にやった物理実習を思い出した。

--問題--
「ここにある数個の物質の質量を測定し、その和を求めよ。ただし、有効数字は3桁とする。」

私は、この実習で、いつまでも正解を出せずに居残りを食らったのである。
この時、有効数字の恐ろしさを知った。
私が理系の中でも医学の道を志したのは、このことが少なからず影響しているのである。

・・・俺の体重は有効数字1桁か!!(怒)・・・

私が痩せて、心配されるようになるまでには、まだ道のりが遠いようである。

定説2

2001年6月1日
最近、この法則に当てはまる人をよく見るようになった・・・

「医者は、その人が専門としている領域の病気で死ぬことが多い。」

つい先日も、膵臓を専門でやっていた先輩が膵癌でなくなってしまった。

私は、肝硬変か肝癌か・・・

定説

2001年5月30日
最近、私の周りでまことしやかに囁かれている噂・・・

「ブランド好きの奥さんを持つ医者は、ユニクロの服を着ていることが多い。」


・・・笑えない・・・

雑記帳

2001年4月10日
さて、思えば2ヶ月ほどこの日記をサボっていたのだが、もうだれも読んでくれていないだろうと考えながら、人知れずupしてみるのもオツなものである。

季節は冬から春へと変化し、桜の花もほとんど散ってしまった。
毎年のことではあるが、花見のシーズンである。
大酒飲みの私は、呼ばれてもいない花見の席(もちろん知り合いの花見ではあるが)にこっそりと座り飲み始め、いつの間にか出来上がって、ひとりで騒いでいるということが多い。
医者なので、もちろん看護婦との花見も多い。

その時、その看護婦たちも私が大酒飲みであることを知っているので、必ずこう言ってくる看護婦がいる。
「先生がつぶれたら、私が点滴と導尿をしてあげる・」

自慢ではないが、私は今まで、飲んで救急車で運ばれたり、点滴をされたりということを経験したことはない。勿論、導尿用のフォーリーカテーテルも未経験である。(抜去時は相当痛いらしい)
それ以上に、泥酔状態で、勃起していない縮こまったペニスを見られるのは、SEXの現場を見られるより恥ずかしい。

だから、そういう風に言われたときは必ずこう言うことにしている。
「もしお前が、俺と同じ量飲んで、もしつぶれたら俺に導尿させてくれるならいいよ。俺、女の尿道孔小さくて分からないから違う穴にカテーテル入れるかも・・・」
と脅せば、たいていの看護婦は引くのである。

しかし、それでも引かない看護婦がたまにいるのだが、そういってくる看護婦はだいたい私のペニスを前もって知っている人である。

ピロリ菌

2001年2月10日
Helicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ)
胃十二指腸潰瘍や、しいては胃癌の原因とも考えられている細菌である。
胃十二指腸潰瘍に関しては、この細菌が胃内に存在することにより再発を起こしやすくなり、また、胃癌に関しては、この細菌に感染しているほうが感染していないほうより胃癌になりやすいと言われている。
したがって最近は、この細菌感染に対し除菌療法を行うことが多くなった。

外来の患者に説明するときは、ピロリ菌と言っている。
「あなたの胃の中にはピロリ菌と言う細菌がおって、それが潰瘍の原因かもしれんけん、除菌しときましょかね。」などと説明するのである。
しかし、田舎の患者というのは、あまり細菌という概念がないらしい。
患者「あたしの胃には虫がおっとですか?」
私「いやいや、虫じゃなかけど、菌ば殺しとったほうが潰瘍がよくなるかもしれんけん、薬ば飲んどってもらってよかですか。」
患者はキョトンとして、納得がいかない顔で待合室に出ていった。
私がカルテを書いていると、その患者が待合室で他の患者に話しかけているのが聞こえてきた。
「あたしの胃の中にピロルキンて言う虫のおるてたい。」
知らない内に菌の名前が変わって、ピロルキンと言う虫の名前になっている。
それを聞いていた聞き手の患者は、
「そのピロルキンて、サナダムシの一種な?」と聞き返している。
「いや、わからんばってん、先生は、この虫くだしば飲んどきなっせ、て言いなった。」
またまた知らない内に、抗生物質が虫くだしに変えられてしまった。
そうこうしているうちにまた、聞き手の患者が、
「サナダムシのごつ、尻から出てきたら気持ちん悪かなー。」

私もその時忙しくて、あまり説明しなかったのも悪いのだが、この二人にとって、ピロリ菌がサナダムシ並の寄生虫として認識されたまま、今に至っている。

JLCS

2001年2月6日
The Japan Lung Cancer Society
日本肺癌学会のことである。
この学会は、その言葉が示すように、肺癌に関するTopicsや新しい治療法などを論議するためにできた学会であることは言うまでもない。

ある年の日本肺癌学会総会でのこと。
医学系の学会はだいたいホテルの数フロアーを貸し切りにしていくつかのセッションに分かれて演題の発表などが行われることが多いのだが、この時もその例外ではなかった。
そのホテルのあるフロアーで「肺癌の疫学」についてのセッションがあったのだが、各大学や施設の間で、熱い意見の交換が行われていた。
肺癌のrisk factorは喫煙であることは一般の方でもよく御存知であると思うが、もちろんそのセッションでもそのことについて論議されていたのである。
さて、休憩時間となり、各ドクターはロビーに出てきて休憩を取り出した。もちろんコーヒーを飲む人や、今までの演題について話し合いをする人もいたのだが、その場所で一番多かったのがおもむろにポケットからたばこを取り出して一斉に吸い出したのである。
そのためにロビーは煙だらけになってしまったのだ。
わきを通過していく一般の人々は怪訝そうなまなざしで、この団体を見ていた。

翌年から、この肺癌学会のフロアーでは禁煙になったことは言うまでもない。

イレウス

2001年1月5日
イレウス・・・別に星の名前ではない。れっきとした病名である。日本語で言うと、腸閉塞。
腹部の手術をすると、治癒過程で腸管が腹壁などに癒着してしまい、あるきっかけで腸管内が狭くなり内容物が通過障害を起こす。
症状は、腹痛・嘔吐・腹部膨満であり、治療はひどい場合には再手術を行うこともあるが、大抵の場合イレウス管という2m以上ある管を鼻から挿入し腸管の内容を吸引することで数日で症状は軽快する。

その体格の小さい腰の曲がったおばあちゃんは、数年前に胃癌の手術を受けていた。
ある日、腹痛を嘔吐を訴えて、外来に来たのであるが、レントゲンを見てみると、立派なイレウスである。
私はいつものように入院させ、鼻からイレウス管を入れて様子を見ることとした。

数日後、症状がなくなったためイレウス管を抜こうと思い、そのおばあちゃんのところに行った。
すると、症状がすっかりなくなったおばあちゃんが私に
「なんか、尻が変な感じばってん、どうもなっとらんですか?」と訴えた。
・・・ドレドレ・・・ゲゲッ!!!
ばあちゃんの肛門を見てみた私の目に飛び込んできたのは、なんと、鼻から入ったイレウス管の先端であった。

イレウスが軽快すれば当然のことながらイレウス管は鼻から抜去するのであるが、私は良心の呵責にさいなまれた。
・・・いったん肛門から出た管を鼻から抜いていいものだろうか?・・・

私は一瞬躊躇したが、ばあちゃんには、肛門に起こった珍事のことは一切話さず、イレウス管を抜去することのみを告げた。
「お尻は、どがんもなっとらんですよ。鼻の管を抜きましょかね」
そそくさとイレウス管を抜くと、ばあちゃんは、
「ああ、すっきりした。尻もよくなったごたる。先生はすごかね〜。見ただけで尻がよくなった。」

私は、ばあちゃんの目を見ることもできず、そそくさと病室から離れたのは言うまでもない。

医者の給料

2000年12月31日
昨日、北野たけし主演のテレビドラマ・三億円事件を見た。
その中で、ルポライターである渡辺篤郎が
「当時(昭和43年当時)の3億円は、現在の90億にも相当するという人がいる」と言う台詞があった。
32年前と比較して、現在は単純計算で30倍、これを大げさと考えても10〜20倍のインフレであると想像できる。
さて、そこで私は医者の給料について考えてみた。

当時の大学卒業時のサラリーマンの初任給は2万円弱、現在では約20万円である。
その当時研修医の所得というのは、先輩に話を聞いた限りでは、月約20〜30万というのを聞いたことがある。しかし現在の平均的な研修医の所得というのは当直料も含めて月40〜50万(熊本では)というのが妥当なところである。
これを見ると、サラリーマンに関してはこの32年間で額面で10倍、医者の場合1〜2倍といったところである。
ついでに言わせてもらえば、最近はその原則が崩れつつあるが、終身雇用といういわゆる「保険」があるが、医者にはそれがなく、退職後の生活が保障されていないという状態である。
それに加え、最近では医療ミスというものが大々的に取り上げられ、そうではない医者まで医療ミスをしたかのような扱いを受けている。

この読者の中には、医者は高給取りというイメージがある方がいらっしゃると思うが、それは10年以上前の話であって、今となっては仕事はきついし、当直もしなくてはならず、マスコミのバッシングにも耐えつつ仕事をしているという苦しい仕事であることを認識していただきたい。

業務連絡

2000年12月19日
今日は秘密日記のみ・・・

教授回診

2000年12月15日
最近、一週間に一話というペースが続いているわけだが、たまに覗きに来ると、リンクしてくれている方が増えており、こういうこっちゃいかんなと思いながら、ネタを求めて仕事に精を出している次第である。

今日の話は、最近のことではなく、私が研修医であり、まだ大学にいた頃のお話である。
以前にも書いたことがあるように、大学というところは、形式を重んじるために、やることなすこと全てが芝居がかっている。
週に一度ある教授回診というのはその最たるものである。
患者一人一人について、その主治医がベッドサイドで教授に向かい、患者の状態、検査の進み具合について説明するわけであるが、我々主治医は、悪性疾患の患者が多いこともあって、医学的な専門用語を使いながら教授に説明することが多い。


「68歳、HCCのope後7日目の方です。術後からjaundiceの方が遷延しておりまして、nauseaが強くapetiteもpoorな状態です。現在nuturitionはIVH管理となっておりますが、apetiteが改善次第、enteral nuturitionに変更していきたいと考えております。infectionの兆候はありません。」などと、教授に説明するわけである。
この文章の意味は、「68歳で肝癌の手術後7日目であり、術後から黄疸が遷延し、吐き気が強く食欲もないため、現在は中心静脈栄養で管理しているが、食欲が改善次第、経口摂取に切り替えていきたい。感染の兆候はない。」という意味なのであるが、上記のように訳の分からない文章で説明するのである。

しかし、教授もやはり人間であり、たまにその説明で頭がこんがらがるのであろう。患者に向かい、「ほぅ、nauseaがありますか?」などと聞いて、患者は訳が分からずきょとんとしている風景をたまに見かけるのである。

芝居がかった中にも、ホッとするようなおかしさがある教授回診であった。

謎だらけの風邪

2000年12月8日
どうも、世間の流行に遅れることなく風邪をひいてしまったようだ。
初めは38℃台の高熱と関節痛、ついで咽頭痛、鼻水・咳そう・喀痰と、いわゆる風邪のgolden courseである。

実を言うと、今回風邪をひいた原因は、実は二つ考えられる。
一つは、発症の4日前にインフルエンザワクチンを接種したこと。いかにインフルエンザワクチンが不活化ワクチンでも時期的にみて疑わざるを得ない。
もう一つは、発症の3日前にある女性とsexual intercourseがあったこと。その女性が風邪をひいていたのである。
一般的に考えて、後者の方が因果関係が強そうであるが、今回の発症のしかたは、私にはどうしても前者のような気がするのである。
いずれにせよ、血清学的診断は行っていないので、結論は謎のままである。

もう一つ不思議な点は、今回、ヘモグラムでWBC13900, CRP4.0という細菌感染兆候と、GOT77, GPT139, ganma-GTP330という肝機能異常を認めたこと。
通常、ウイルス単独感染ではWBCが10000を超すことは珍しい。また、肝機能については、私は大酒飲みのため、軽度の肝機能異常は予測できるのだが、今までここまで悪化したことはなかった。
採血のデータだけ見れば、入院してもおかしくないほどの結果である。
しかし、私本人は比較的元気にしているので、とりあえず肝庇護剤と抗生剤の点滴、ダンリッチ・ロキソニン・ポララミンという聞いただけで眠くなりそうな内服で治療している。

このようなわけで、今回の謎だらけの風邪はようやく軽快してきているようである。

話は変わるが、この日記には多くの薬剤師の方がリンクしてくださっているが、その方々の一言。
「服薬のcomplianceが最もよくないのは医者である。」
医者は、自分で勝手に薬の内容を変えて飲んでいます。注意してあげましょう。

行きつけの居酒屋

2000年12月1日
以前から不審だったことがある。
それは、私の行きつけの居酒屋。

居酒屋のくせにやけに駐車場がだだっ広い。
どうかしたら30台くらい駐車できそうなスペースである。

一般的に、居酒屋とは酒を飲むために料理を提供するスペースである。
別に警察の味方をするわけではないが、一般的に、酒を飲むと車の運転はしない。
もちろん、居酒屋に行って、酒を飲まない人たちもいる。家族連れできた子どもたちである。
彼らはジュースを飲んでいる。
しかし、一般的に、彼らは18歳未満である以上、乗用車の運転免許証は持っていない。
それに追い打ちするように、その居酒屋の座席数はとても30もない。
一般的に、来客数を上回る駐車スペースの確保は無駄である。

このような、一般的ルールの全てうち破ったこの居酒屋のおやじの心意気が、私は好きであった。

そんな、一般的ではない居酒屋が、昨日行ってみたらつぶれていた。
噂によると、駐車場の維持ができなくてつぶれたとのこと。

教訓:
居酒屋の駐車場はいりません。
「この患者さん、頚部のリンパ節が腫れてて、不明熱がずっと続いているんですよ。抗生剤点滴しても一向によくならないから、いっぺんリンパ節生検してもらえませんか?」
内科のドクターから患者の紹介である。

一般的に、「リンパ節が腫大する」という現象は、何らかの細菌やウイルスの感染のため、生体防御の一環としておこる現象であるが、稀にリンパ節の腫瘍性病変(悪性リンパ腫など)の存在も考えておかなくてはならない。
確定診断を下すためには、腫大しているリンパ節を摘出し病理組織で判断するのだが、そこで我々外科医の登場となるのである。

内科からみたら、その病理組織の結果によって治療方針が変わってくるので大変重要な検査なのだが、外科サイドから言わせれば、リンパ節生検というのは小手術の部類にはいる。
よって、研修医の格好のトレーニングの場所なのである。

患者をベットに寝かせ、消毒をして、清潔野を保持するために穴あきのグリーンシーツをかぶせる。(ここまでは、中堅どころのいかにも切れそうな外科医が処置する。ここで大事なのは、シーツで患者の視界を完全に遮断するのである。)
その時点で、その中堅どころの医者が、そばにいる研修医に目配せして、
・・・おい、お前がやれ・・・
と目で訴えるのである。
そのあとは、研修医が独壇場となって、局所麻酔、手術を行うのである。
そして、手術が終わると、再度中堅どころの医者がシーツをめくり、優しそうに
「ハイ、終わりましたよ」という仕組みである。
もちろん、この時、研修医は姿を隠している。

こうやって、少しずつ外科医は成長していくのだ。
怖ろしい話ではあるが、事実である。
<森首相、ネット上のアンケートで支持率3%>
新聞の見出しでは、「IT革命を進行する内閣に思わぬしっぺ返し」などと書かれているが、「電気のないところでは携帯電話を使えばいい」などと言っている人間のどこがITなのだろうか?
まあ、今の自民党じゃぁ誰が首相になってもいっしょだが。
例の熊本日々新聞では、読者からの寸評記事を載せているのだが、そこには、
「ヨトウ ヤトウ カトウ」と書かれていた。ウマイ!
与党にも野党にも見放された加藤クンをうまく表現している。

<大統領選挙未だ決着せず>
選挙日から10日以上経過しても集票の結果が出ない。
まるで、開発途上国の選挙みたい。
しかし、今回はブッシュがなってもゴアがなってもあんまし変わらないみたいだね。
ある人がこう言ったそうだ。
「ブッシュ(Bush、茂み・やぶ)では、先が見えない」
これまたウマイ!
しかし、この言葉は先代のブッシュ大統領の時にも聞いたような・・・

ちょっと古いが・・・
<グリーンピース、調査捕鯨にも反対>
だいたいあの団体は、何を根拠にそんなことを言ってるのだろうか。
鯨は絶滅の危機にある?
そんなのウソウソ!
最近の調査捕鯨では、鯨が多くなりすぎて海洋生態が崩れてきているそうな。
鯨は哺乳類だから?
それだったら牛も豚も哺乳類ぢゃ!
そんなに哺乳類を食うのがだめなら、ワニ(爬虫類)にマヨネーズ(鶏卵・鳥類)でもかけて食いやがれ!
鯨は家畜ではなく、野生動物だから?
そんなら、シロナガスクジラの生け簀を作りやがれ!
作れねぇからそんなこと言ってんだろう!

医薬品商品名

2000年11月15日
みなさんは「クスリ」と称されるものには全て三つの名前があることをご存じだろうか?
化学式名、一般名、商品名の三つである。
化学式とは、その薬剤の化学構造式で表現されるもの。
一般名は、その化学構造式一つにつき一個限定された名前。
商品名は、一般の人にも公にされる、各製薬会社が命名した名前である。

我々医者は、化学式名を使用することはまずない。ほとんどの場合は商品名で話をすることが多いが、たまには一般名を使うこともある。
ところで、商品名は各製薬会社が命名するだけあって、命名した人のセンスというものが伝わってくることがある。

その数例を紹介しよう。(商品名--効能効果--私の感想 の順で表示する)
ドルミカム--麻酔前投薬、全身麻酔の導入および維持--いかにもよく眠れそうである
ネルボン--不眠症、麻酔前投薬etc--これもまたよく眠れそうである
クリアミン--血管性頭痛、偏頭痛、緊張性頭痛--頭がクリアーになりそう
ナウゼリン--消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満など)--nausea(吐き気)によく効きそう
ナゼア--抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状--これも上記理由
ガーレ・ドナウ--胆石症、胆嚢炎などの利胆--ガーレ(胆汁)がドナウ川のように流れ・・・こじつけっぽいが・・

などなど、我々医者をうならせる商品名の薬も数多いのだが、なんでこんな名前が付いたの?と思わざるを得ない薬もたまにある。
前立腺の薬で、私の専門外ではあるのだが、二つだけ紹介しよう。
エビプロスタット--前立腺肥大症に伴う排尿困難など--prostata(前立腺)の薬であることは分かるが、最初のエビはどこから来たの?
ホンバン--前立腺癌--ホンバンってなんの本番?もしかして場所が近いだけに・・・?

鼻毛諸君へ

2000年11月14日
君らはいつから、鼻腔内を逸脱して成長していいと命令されたのか?
君らが鼻の外に顔を出す度に、私は躍起になって君らを除外しなくてはならないのである。

体毛にはそれぞれの機能がある。
頭髪は頭蓋骨を守る働きがあるし、陰毛には恥骨にかかる衝撃を軽減する働きがある。
もちろん、鼻毛にもちゃんとした機能があって、呼吸の際に細かいチリなどを鼻腔内でトラップするというきちんとした機能があるのである。
だから私は鼻毛が存在しなくていいとは思わないし、無くては困るとも考えている。

だが、最近の君たちの行動を見ていると、どうもスタンドプレーに走りがちなのではないか?
まるで、ショートゴロをサード長嶋がこれ見よがしに処理しているような印象がある。
鼻毛にスタープレーヤーはいらない。
鼻毛は堅実なプレーだけしていればいいのだ。
つまり、君たちは鼻腔内で細々と仕事をしていればいいのであって、余計なことに鼻の外に出てくる必要はない!
君たちが鼻の外に出てきても、できる仕事はない!
だから私に除去されるという悲しい運命を辿るのである。

再度鼻毛諸君に告ぐ!
鼻腔内の毛母細胞のDNAに組み込まれた本来の仕事のみを遂行すること!
それ以上の行動を取った場合、今まで通り厳罰に処す!

今日の日記

2000年11月10日
新聞を見ていると、大抵の新聞ではスポーツのページの次に地方版といってその地域の話題などを取り扱う欄がある。
私は、熊本日々新聞という、熊本ローカルの新聞を購読しているのだが、この新聞も例外ではない。
この地方版のはじっこにおくやみ欄がある。
外科医師である私は、当然癌の患者を診ることが多く、治療の甲斐なく亡くなっていく人も多いため、自然とそのおくやみ欄に目がいってしまうのである。

私が主治医だった患者がそのおくやみ欄に掲載される度に、私自身と現在の医療の不甲斐なさを感じざるを得ない。
また、その患者についていろいろを思い起こされ、「ああすればよかったのじゃないか」「こうすれば助かったのでは・・・」などと、反省の機会も与えてくれる、私にとっては非常に重要な記事なのである。

しかし、敢えて私は熊本日々新聞に文句を言いたい!
時々、おくやみ欄のすぐ横に「私は赤ちゃん」なる、新生児の写真入り紹介記事を載せるのはやめてくれ!!


<業務連絡>
所長さん・・・あなたの秘密日記を読みたくて読みたくて、久しぶりに自分からリンクしてしまいました。
相互リンクたのんます!
以前、高村あまねさんの日記で、浣腸・痔ネタが一世を風靡したが、私の話も「痔」である。

私は痔は好きではない。
しかし、痔の患者はなぜか外科にまわってくる。
内科のドクターが痔の患者を診ても、
「あっ、これは痔だね。専門の先生がいるから診てもらって」とか言って、外科にまわしてくる。
別に専門じゃないっちゅうに・・・
そうこうしているうちに患者が診察室に入ってくる。
患者を横向きに寝かせ、尻を突き出させて肛門に指を突っ込んだり、肛門鏡を突っ込んだりして診察する。
まず、この一連の動作が嫌いである。
なんでワシは真っ昼間から人の肛門の中を覗いているんじゃという気になるし、この動作を他人に見られたらこれほどはずかしいものはない。
患者も私もはずかしいのだ。

大抵の患者は座薬などで経過を見るのだが、ひどい場合は手術になる。

手術がまたはずかしい。
患者は腰椎麻酔をかけられ、下半身の自由が全く利かない状態でうつ伏せに寝かせられ、大開脚で待っているのだが、そこに無影灯を当てると、その人の秘部が白日の下にさらされるのである。患者は抵抗できない。
特に若い女性患者だと、こちらまで会陰部がむずむずするような感じがして、はずかしくなってくる。
さて実際に手術であるが、術者はイスに座り、患者の肛門に顔を突っ込むようにして手術を進める。この体勢がまたまたはずかしい。
手術操作としては、肛門括約筋、肛門平滑筋を損傷しないように痔の原因である静脈瘤をちまちまと剥離していくのであるが、少しでも層を間違えると静脈瘤を破り、おどろおどろしい黒ずんだ血液がしみ出てくる。これが気持ち悪い。
また、静脈瘤の範囲が大きいからといって全部摘出していると、術後に肛門の狭窄がきて大変なことになる。
こんなことに注意しながら手術を進めていくのである。

さて手術も終わり麻酔が切れかかると、今度は患者の顔が苦悶によがんでくる。
肛門の傷は結構痛いのだ。
この顔を見るのも嫌いだ。

術後のガーゼ交換も、上記の理由ではずかしい。

そんなこんなで私は痔が嫌いである。

ところで「痔」はひらがなで書いたら「ぢ」なのだろうか、「じ」なのだろうか?
ヒサヤ大黒堂の新聞広告では大きな字で「ぢ」と書いてあったようだが・・・

当直の憂鬱

2000年11月8日
大酒飲みである私は、普段3〜4合の焼酎を飲んでいる。
飲み会の時はその倍くらい飲んでいるが、普段はそんなもんである。
しかし当直で病院に寝泊まりしているときには、もちろんアルコールは飲めない。
体にとってみれば休肝日になっていいのであるが、アルコールがすでに睡眠導入剤となっている私にとっては、当直の日には必ず不眠に悩まされるのである。

ここ数年、私は寝るときに文庫本を読んでいるのだが、当直の時には100ページ程読んでも眠れないことがある。
うつらうつらし出すのがだいたい3時くらいなのであるが、ちょうどその頃、急性アルコール中毒の患者が救急車で運ばれてくる。
一連の処置をして当直室に帰ってくると、時計はもう4時を指している。ベットに寝転がり布団をかぶるが、もちろん目が冴えていて眠れない。
しょうがなくタバコを一服。
数時間ぶりのタバコのため、ニコチンの血中濃度が急上昇、さらに眠れなくなる。
最終手段は医学雑誌である。
小説はいくら読んでも眠くならないが、医学雑誌にはなにやらメジャートランキライザーの匂いがする。
医学雑誌を1ページも読まない内に、やっと深い眠りにつく。この時すでに5時。
そして2〜3時間の短い睡眠の後、そのまま通常勤務に突入してしまうのである。

私にとって当直が憂鬱なのは、患者が来て眠れないためではなく、アルコールが飲めなくて眠れないためである。
我々医者は病気を治すのが第一の仕事なのだが、それ以前に病気を見つけるのも仕事である。
つまり、人を見ると、この人に何か病気が隠されていないかいつも捜しているのである。
だから、外来で長期にフォローしている患者に対しては、半年や一年に一回は超音波やカメラを勧め、さらなる病気がないかどうかをチェックしている。
つまり、検診の仕事を我々が買って出ているのである。

胃内視鏡(カメラ)を受けるように患者に勧めると、「カメラはきついからバリウム検査(胃透視)にしてくれ」と言う患者が結構多い。
そう思っている人に一言。

「結果的には、最初から内視鏡をした方が楽である。」

その理由をお教えしましょう!
1.内視鏡の方が、病変の見落としが少なく、比較的小さな病変でも見つけることができる。
2.胃透視で病変が見つかった場合、最終的には内視鏡で病変を確認し、生検をすることによって初めて確定診断が下せる。つまり、二度手間になることを防げるのである。

このような理由で私は内視鏡を勧めている。
皆さんも、胃の検診は最初から内視鏡で診てもらいましょう。

・・・こんなことをいくら説明しても、納得しない頑固爺さんが熊本には多い・・・

1 2 3

 

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索